毎日、毎日、毎日
私たち兄妹は両親が喧嘩を始めても、次第に隠れるのをやめるようになっていました。
いつからと聞かれるともう覚えていませんが、目の前で拳が振り上げられようが、ガラスが割れようが
「また始まった」
くらいにしか思っていませんでした。
いつもTVを見ながら食事をしていて、最中に喧嘩が始まっても物が飛んでこないところに移動して同じ空間で食べ続けていました。
TVは父の大好きな野球中継。
BGMは父の怒鳴り声と母の金切り声。
「うるさいなぁ…」
そうは思ってもTVを消すことはできませんでした。
父はある球団のファンで、この家の決定権は全て父にありました。
かといって喧嘩を止めるという選択肢もありませんでした。
これが日常なので「おかしい」と感じたことがありませんでした。
ですが、例えおかしなことだと思ってもきっと止めには入っていなかったと思います。
子供から見る大人の本気の喧嘩は恐ろしいものです。
それにいくら二人が喧嘩をしても、私たち兄妹には手を上げないということが分かっていました。
放っておけばそのうち終わることなので、ただ部屋の隅で食事をするだけでした。
毎日毎日、よく飽きないものです。
私はそんな両親の姿を見て育ちました。
兄もそうです。
でも、あの二人に私たちの姿は映っていなかったように思います。