にふじのブログ

わたしの「根っこ」

チャボ以下の存在

枯れた花

ある日、父の会社の同僚が家に来たことがありました。

 

夕食時だったので私たち家族も一緒に食事をする事になりました。

 

 

父は親戚の経営する会社に勤めていたんですが、同僚の方の話を聞いているとどうやら普段私が見ている父と、会社での父は違ったようです。

 

同僚の方は母にこう言っていました。

 

 

「ご主人にはいつも気にかけてもらって助かっています」

 

「差し入れなんかもよくしてもらって、毎日のようにコーヒー奢ってもらってます」

 

 

誰の話をしているのかと思いました。

 

単なる社交辞令かも知れませんが、それでも驚いたのを覚えています。

 

そして、そう言われた父を見ると得意満面といった様子でした。

 

 

さらに同僚の方は私にもこう言いました。

 

 

「お父さんはね、会社でチャボを何匹か飼っているんだけど、そのチャボがすっごくお父さんに懐いているんだ」

 

「会社では放し飼いにしているんだけど、どんなに遠くにいてもお父さんが『おーい!』って言ったらみんなお父さんのところに集まってくるんだよ」

 

「お父さん以外の人が呼んでも来ないんだよ」

 

 

それを聞いて子供ながらに

 

「この人、生き物の世話をするんだ」

 

と思いました。

 

父はますます楽しそうにビールを飲んでいました。

 

 

 
どうやら父にはチャボに注ぐ愛情はあっても、私たち家族に注ぐ愛情は持ち合わせていなかったようです。

 

父にとって私はチャボ以下の存在でした。