兄の優しさ
兄とは本当に男兄弟のようにして育ちました。
一緒に遊べばそれだけよく喧嘩もしました。
年子だったし、男の子グループにいたので喧嘩も結構荒っぽかったです。
ですが私を男の子グループから外そうとはしませんでした。
周りの男の子たちもそうでした。
そして喧嘩をしても次の日には一緒に遊んでいました。
小学校3年生の時に足の骨を骨折したことがあります。
その時は兄たちとは一緒に遊んでいなくて、学校の友達と遊んでいました。
基本的に遊び方が荒っぽかったので、怪我も珍しいことではありませんでした。
この時も鬼ごっこをしていて、鬼から逃げている時に滑り台を滑らずに駆け降りました。
そして右足が地面についたのと同時に体をひねったら右足の脛の骨がねじれました。
ねじり骨折というそうです。
怪我をしたのが学校だったので両親にも連絡が行き、近くの整形外科に一週間入院することになりました。
父を見たのはその日だけ。
一応は保護者なので、学校から連絡がきたら行かないわけにはいかなかったのでしょう。
母はその日だけ病院に泊まりましたが、パートもあるのでその後は来れる日だけ面会に来ました。
そして兄は毎日お見舞いに来てくれました。
学校の近くにある駄菓子屋さんに寄ってお菓子をいくつも買ってきてくれました。
その中からゼリーのお菓子をとって、看護師さんに私がお菓子を食べてもいいかを聞いてくれました。
今にして思えば、兄なりに病院なので勝手にあれこれ食べさせられないと思ったのだと思います。
そして、たくさん種類があったのは、食べてもいいものと食べてはいけないものがあるかもしれないと思ったからだと思います。
私たちは看護師さんから「いいよ」と許しをもらって、病室で一緒にお菓子を食べました。
特に何かを話すわけでもありませんでした。
ですが、兄も同じことを思っていたかもしれません。
私は病院にいれば両親の怒鳴り声を聞かなくていいのだと思ったことだけは覚えています。