にふじのブログ

わたしの「根っこ」

家族旅行

ピンクのバーベナの花言葉、家族の和合


 

基本的に私の家に家族旅行というものはありませんでした。

 

盆も正月も帰省することなく、家族揃ってどこかへ出かけるといえば法事だけでした。

 

父もまた実家があまり好きではなかったようです。

 

唯一その点においては父も母もお互い理解しあっているようでした。

 

 

 

小さい頃、一度だけ母が泊まりがけの旅行に連れて行ってくれたことがあります。

 

法事でもなんでもない、観光旅行です。

 

確か小学校1年生くらいだった気がします。

 

その頃はまだ母も私たち兄妹に何かしなくてはという思いがあったのかもしれません。

 

 

 

連れて行ってくれたのは隣県にあるお城です。

 

藤棚の見事なところだったのを覚えています。

 

ただそこに父の姿はありませんでした。

 

理由はわかりません。

 

仕事が忙しかったのか、ただ私たちと一緒にいたくなかったのか。

 

 

 

そして観光を終え、民宿に着いた夜に何故か母が父に電話しようと言いました。

 

民宿にあった公衆電話に10円玉を入れる母を見ながら、これまでもまともに話してこなかった父と一体何を話せばいいのかと考えていました。

 

最初は母が電話をかけて、すぐに兄に代わりました。

 

兄も二言三言話してすぐに私に順番が回ってきました。

 

私は当たり障りないようお城を見たこと、藤棚を見たことを話しました。

 

父は特に何も思っていないようでした。

 

「あぁ、そう」

 

その言葉の後、電話を切ると使い切れなかった10円玉がジャラジャラと戻ってきました。

 

 

母はまだこの頃は関係を修復したいと思っていたのかもしれません。

 

また、そうできると思ったからこそ電話をしようと言い出したのかもしれません。

 

 

しかし自分の意思で家族旅行に参加しようとしない父に何を言っても響くものはありませんでした。

 

 

 

そして、私にも寂しいという感情はありませんでした。

 

だって相手は父ですから。

 

父親とはそういうものだとなんの疑問も持っていませんでした。